中学理科の私立入試対策まとめ
このページでは、私立高校入試問題に対する単元別の気を付けるポイントをまとめています。
僕のこれまでの経験を元にまとめるので偏った意見になっているかもしれないということを念頭においたうえで参考にしてください。
各単元で紹介している入試でよく出題される問題の項目の前についている
「★」は難易度を示しています。
★3・・・超難しい
★2・・・難しい
★1・・・少し難しい
青字は少し大事
赤字は入試前に必ず演習しておきたい項目
としています。
入試問題全般的なこと
当たり前のことですが、受験校によって大問の数や問題数や制限時間がある程度決まっています。
なので、赤本の演習をしていく中で最低限以下の3点に留意しておきましょう。
- どれくらいのペースで解けば、見直しの時間を確保して問題を最後まで解き終わることができるか。
- 難問・奇問がどのくらいの割合で出題されているか。
- 過去5年間の中で時事問題が出題されているか。
この中でも1.は最も大事なことです。
問題量が多すぎてとても見直しの時間も確保できないような入試問題もありますが、その場合は
・時間のかかる計算問題を後回しにして即答できる語句問題を先に解く。
・「急いで解かないといけない!」と思って問題を解く。
逆に、問題数が少なく時間もたくさんある入試問題なら、
・試験開始後、問題の量を把握した後、前から順番に落ち着いて解く。
・「時間があるから落ち着いてミスしないように!」と思って解く。
という風に、どういうスタイルで問題を解くかを自分の中で決めておくと、
・安心感がうまれる(時間足りるかな?という余計な心配が消えやすい)
・いつも通りの実力を出しやすい(五郎丸のルーティンみたいな感じ)
などの良い効果があります。これまでの内容をまとめると
ということです。
ちなみに2.の難問・奇問の出題割合についてですが、これも学校ごとにほとんど割合が同じです。
難問・奇問がほとんど出ないような学校なら何も気にせず解けばいいですし、
難問・鬼門が全問題の20%ほど出題される学校なら、その問題に出くわしたときに難問・鬼門かどうかの判断力と一旦後回しにする勇気が必要になってきます。
そもそも、難問・奇問での誤答が合否に影響することは最難関の学校を除いてほとんどありません。
入試で落ちてしまうケースというのは大抵、正答率の高い簡単な問題で間違えたときです。
よって、難問・奇問に5分の時間を割くより、見直しに5分の時間を使う方が良いという風に僕は考えています。これまでの内容をまとめると
・難問・奇問は間違ってOK!むしろ、今日の運試ししてやるか!!ぐらいの勢いで大丈夫(笑)
・基本的な問題や簡単な問題で間違えない
ということです。
※ちなみに僕の中での難問・奇問は受験生の正答率が20%以下の問題という風に考えています。
3.の時事問題についてはそこまで気にすることではありませんが、過去に出題されていたなら
ノーベル賞や大きな理科に関するニュースは最低限勉強しておくべきです。
これ以降は分野別で入試に出題されやすい難問や奇問などについてまとめています。
難問・奇問がほとんど出ない学校を受ける場合は読んで得られることが少ないかも・・・。
また、知らない用語がたくさん出てくるかと思いますけど、最難関高校を受ける子以外は気にしなくてOKです。
物理
物理分野は、計算が比較的多く、応用問題であることがほとんどで正答率が低くなり、他の受験生と差がつきやすい分野となっている。
特に浮力の問題と電気回路の計算問題で差がつきやすい。
単純な計算で解けることも少なく、計算量が多いので計算スピードを意識した勉強をしていくことが大切。
定期試験などでは見られない、入試において見られる初見問題は
(★1)90°の傾きで置いた2枚の鏡でできる像
(★2)ドップラー効果
(★2)アルキメデスの原理
(★1)浮力の反作用(はかりの上に水を入れたビーカーをおいて、物体を浮かせたり沈めたりする)
(★2)平行導体に流れる電流により発生するローレンツ力
(★2)電流計・電圧計の内部回路(内部抵抗)
(★2)重ね合わせの理
(★2)ホイートストーンブリッジ回路
(★3)加速度の問題
(★3)摩擦力有の場合の物体の運動
この辺りがよく見られる。ほとんどが計算を伴う問題で出題形式が多岐にわたり、演習を積んでも中々解けない問題が多い。
加速度やドップラー効果については中学校の学習指導要領外なので問題文にどういった現象なのかが丁寧に説明されてることも多く、しっかり問題文を読むことで案外簡単に解けたりもする。
また、この中でもアルキメデスの原理については非常に多くの学校で出題されており非常に重要である。
化学
化学分野は計算問題が多いが、基本問題も多く、そこまで難しくない。
ポイントとなってくるのは「化学反応式」これ一つ。これがどこまで深く理解できているかで化学分野はある程度決まる。
係数が気体の体積比であることや、原子量から質量比を求めることができることや、有機物を燃焼させるときの化学反応式を作れるかどうかや、今までにない化学反応式(硫酸でマグネシウムを溶かすなど)を書けるかなどが大切である。
定期試験などでは見られない、入試において見られる初見問題は
(★1)未知の物質を実験結果から見分ける問題
(★2)原子の原子量と化学反応式から質量を求める問題
(★1)化学反応式の係数が体積比ということを利用する問題(オゾンやアンモニアなど)
(★2)テルミット反応のようなマニアックな還元問題
(★1)有機物の燃焼の化学反応式(ブドウ糖やプロパンなど)
(★1)銅とマグネシウムを混ぜて加熱する計算問題
(★1)中和反応におけるイオンの変化を表すグラフの問題
この辺りがよく見られる。計算問題が多いが、化学反応式と原子量と質量・体積の関係が分かっていれば、化学反応の難問はほとんど解くことができる。
出題パターンもほとんど決まっているため演習を積んだことが結果に結びつきやすく。努力が実を結ばれやすい。
これまでに化学式、イオン式をしっかり覚えて基礎を積み重ねてきた子ならそこまで苦労しなくて済むはず。
逆に基礎を積み重ねてこなかった子はかなりの苦労が必要となってくる。
生物
生物分野は4つの分野の中で、一番点数を稼げる分野であり、他の受験生との差がつかない。
その分、この分野での失点は非常に痛手になることをよく理解しておくべき。
定期試験などでは見られない、入試において見られる初見問題は
(★1)光の強さと光合成量・呼吸量の関係の問題
(★1)消化酵素と温度の関係(煮沸させると元の温度に戻してもはたらかない。冷やして元の温度に戻すとはたらく)
(★1)じん臓のはたらき(原尿と尿に含まれる成分)
(★2)ヘモグロビンと酸素濃度・二酸化炭素濃度
(★1)神経の伝達速度
(★1)吸う息と吐く息の気体の成分比
(★1)マニアックな動物の分類分け
(★2)DNAの塩基対
(★1)窒素や酸素や炭素の循環
この辺りがよく見られる。また、計算を伴う問題が出題されることもあり、初見では厳しいことが多いので
入試前に似た問題を演習しておくとよい。
地学
地学分野は地震の計算、水蒸気の計算、天体の計算など計算が意外と多い。
よって、計算問題で差がつくことが多い。最低限上に挙げた3つの計算単元は必ずおさえておきたい。
また、それに加えて後ほど説明するフェーン現象は入試までに必ず一度演習しておくべき項目である。
定期試験などでは見られない、入試において見られる初見問題は
(★1)火成岩と二酸化ケイ素の関係
(★1)縦波と横波(地震)
(★1)三平方の定理を使った地震の計算
(★3)モホロヴィッチの不連続面での地震波の伝搬速度(シャドーゾーンの話)
(★1)フェーン現象
(★1)台風の進路の右と左での風の強さ(小問)
(★2)朔望月と月の公転周期のずれに関する問題
(★2)夏至や冬至での場所による明け方と日の入り時刻
(★1)透明半球を使った影の動き方の問題
(★2)会合周期の問題
この辺りがよく見られる。特にフェーン現象の問題は最近多くの私立高校入試問題で出題されており、必ず一度は演習しておくべきである。
またフェーン現象だけでなく、朔望月の問題や会合周期の問題のような初見では全く解けない難問も一度演習しておくことで難易度が大幅に下がるので時間があれば解いておくとよい。
まとめ
自分なりにまとめましたが、振り返ってみると私見も多く、塾講師寄りの情報になってしまった気がします。そして、難問・奇問に着目しすぎてるように思います・・・。(反省)
一応最後に皆様に注意してほしいのは
難問・奇問なんてほとんどの子が解けないから極端な事を言うと、どうでもいいってことです!!!
基礎ができているならともかく、基礎が出来ていないのにこれらの単元をわざわざ勉強する必要は全くありません。
基本問題や単純な語句問題で正解出来ることが何よりも大切なんです。
なので、難問・奇問にぶつかったとしてもその壁を登らず、壁の横を素通りして次の壁を目指しましょう(笑)