地震の発生と原因
地球の表面上では、厚さ100kmほどの板状の岩石の層であるプレートが動いている。これらのプレートがぶつかり、ひずみを生じる。これが元に戻るときの反動で地震が発生している。
図のように日本の周りには4つのプレートが存在する。
大陸プレート・・・北アメリカプレートとユーラシアプレートのこと
海洋プレート・・・フィリピン海プレートと太平洋プレートのこと
東北地方太平洋沖地震・・・2011年3月11日に図の青の×印の位置(北側)で起きた地震で北アメリカプレートと太平洋プレートの境目で起こった
南海トラフ地震・・・今後起きる可能性のある地震で青の×印の位置(南側)付近で起きると思われる地震でフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境目にある。
※図の緑色の矢印はプレート移動方向を示している。
この図はプレートを真横から見た図である。
直下型地震・・・図の赤矢印付近のような人が居住する地域の真下でおきる地震
プレート境界型地震・・・図の青矢印付近のようなプレートの境界でおきる地震
地震発生地点の分布を見ると分かるように地震発生地点の深さ(震源の深さ)は太平洋側から日本海側に向かうにつれて深くなっていく。
※黒の矢印はプレートの移動方向を示している。
海溝・・・海底にある溝
海嶺・・・海底にある山脈
震源・・・地震の発生した地点(図でいうO地点)
震央・・・震源の真上の地表の地点(図でいうB地点)
震央距離・・・震源の深さとも呼ぶ
震源からの距離・・・震源からの直線距離
※この後の地震の計算では図にある震源からの距離を使うことが非常に多い。入試問題では、震央までの距離(AB)と震源の深さ(BO)が分かっていて、三平方の定理(中3数学で学習)を使って震源からの距離を求めないと解けない問題もある。その場合は以下の公式を使うことを頭に入れておくとよい。
両辺の平方根をとって
以上の式で震源からの距離を求めることができる。
地震が発生すると震源から速さの違う二つの波(P波・S波)が同時に発生し、同心円状に広がっていく。
P波(Primary wave)(縦波(疎密波))・・・初期微動を引き起こす波で速度が速い。速さはおよそ6~8km/秒
S波(Secondary wave)(横波)・・・主要動を引き起こす波で速度が遅い。速さはおよそ3~5km/秒
初期微動・・・地震の際の最初の小さな揺れ
主要動・・・初期微動の後の大きな揺れ
※この4つの重要語句を問う問題は出題頻度が高く、どれを答えたらいいか迷いやすい。
問題文で、「~~~という波は?」と聞かれたら、P波かS波。「~~~という揺れは?」と聞かれたら初期微動か主要動を答えるという風に波か揺れかで判断すればよい。
初期微動継続時間・・・初期微動が始まってから主要動が伝わるまでの間の時間
震度・・・観測地点のゆれの大きさで、0,1,2,3,4,5弱,5強,6弱,6強,7の10階級ある
マグニチュード・・・地震の規模の大きさ。1大きくなると地震のエネルギーが32倍となる。2大きくなると32×32で約1000倍となる。
地震の計算(表タイプ)
【例題】
次の表は各地点における初期微動と主要動が始まった時刻をまとめたものである。表の空欄を埋め、地震の発生時刻、P波、S波の速さを求めよ。
震源からの距離 | 初期微動の開始時刻 | 主要動の開始時刻 | |
A地点 | 48km | 12:45:34 | 12:45:40 |
B地点 | 80km | 12:45:38 | ① |
C地点 | ② | ③ | 12:45:58 |
【解法】
- まず、地震の計算で一番大事なのは「初期微動継続時間と震源からの距離が比例する」ということです。
A地点のデータより 48kmに対して6秒 というデータをまず手に入れましょう。次に
B地点では、 80kmに対して?秒 という風に初期微動継続時間が分からないのでここで比例式を立てます。
48km :6秒 = 80km:x 内項の積と外項の積は等しいので
48x=480
x=10
よってB地点の初期微動継続時間は10秒であるので、12:45:38に10を足して
①の答えは12:45:48となります。
- P波とS波の速さは「2地点間の距離の差を時間の差で割る」だけで求まります。
A地点とB地点のデータより、32kmの距離の差があるため、P波は4秒遅れていて、S波は8秒遅れているといえます。よって
P波は:32km ÷ 4秒 = 8km/秒
S波は:32km ÷ 8秒 = 4km/秒 となります。
- 地震の発生時刻は「どこかの地点の震源からの距離をP波かS波の伝わる時間で割る」だけで求まります。
A地点のデータよりP波は48kmの距離を8km/秒の速さで進んでいるので、48 ÷ 8 = 6秒
地震が発生してから6秒経って、A地点にP波が伝わっていることが分かります。
よって地震が発生したのは初期微動がA地点に到着する6秒前なので、
12:45:34 - 6秒 = 12:45:28 となります。
次にC地点ですが、地震が発生(12:45:28)してから、30秒後に主要動が発生(12:48:58)しているので
4km/秒(S波の速さ) × 30秒 = 120km これがC地点の震源からの距離になります。これが②の答えです。
また、P波はこの120kmという距離を8km/秒で進むと15秒かかるので
地震発生から15秒後にC地点にP波が到着するので
12:45:28 + 15 = 12:45:43 となります。これが③の答えです。
【別解】
ちなみに①が分かってからは裏技的な解き方で高速で②③を求めることができます。
図のように縦に見た時刻の差や距離の差は実はどの列でも比例しています。
なので、8:10=4:y が成立し、 8:10=32:x も成立するので、
x=40,y=5
なので②は120km ③は12:45:43という風に計算速いひとなら10秒くらいで解けます。
この解法テクニックを使用している本はほとんどありませんし、塾でもほとんど教えてくれないかと思います。
よかったら是非是非使ってみてください。
【答】
震源からの距離 | 初期微動の開始時刻 | 主要動の開始時刻 | |
A地点 | 48km | 12:45:34 | 12:45:40 |
B地点 | 80km | 12:45:38 | 12:45:48 |
C地点 | 120km | 12:45:43 | 12:48:58 |
地震の発生時刻:12:45:28
P波の速さ:8km/秒
S波の速さ:4km/秒