質量保存の法則
質量保存の法則・・・化学変化の前後で、全体の質量が変わらないこと。
※質量保存の法則はフランスのラボアジエによって発見された。
質量保存の法則はどんな化学変化においても必ず成り立つが、物質が自由に出入りできる開放された状態で実験したときの
見かけ上の質量の変化は次の3パターンがある。
①質量が変わらない場合
反応の前後に気体が関わらない場合で、例えば、塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜる中和反応など
②質量が減る場合
反応によって気体が発生する場合で、例えば、石灰石に塩酸をくわえることで発生する二酸化炭素が空気中に逃げる場合など
③質量が増える場合
反応によって空気中の酸素と結びつく場合で、例えば、スチールウールを燃焼させて空気中の酸素と結びつく場合など
②と③のパターンは見かけ上は質量が変化しているが、反応に関わった気体の質量も含めると、質量保存の法則は必ず成り立っている。
定比例の法則
定比例の法則・・・化合物が生成される場合、結びつく原子の質量の割合は化合物ごとに一定の値になること。
※定比例の法則はフランスのプルーストによって発見された。
中学で覚える質量の比は以下の3パターンのみ(④は私立難関入試向け)
①銅:酸素=4:1(酸化銅は5)
②マグネシウム:酸素=3:2(酸化マグネシウムは5)
③銅:マグネシウム=8:3
④酸素:水素=8:1(水は9)
※定比例の法則を使った質量計算はなるべく比例式を立てて計算することをお勧めします。
以下に例題を示します。
例題1
24gの銅を全て酸化させたとき、この銅に化合した酸素の質量を求めよ。
答え.6g
例題2
18gの酸素を全て反応させるのに必要なマグネシウムの質量を求めよ。
答え.27g
例題3
16gの銅を全て酸化させたときにできる酸化銅の質量を求めよ。
答え.20g
不完全燃焼の問題
問題文で「未反応」や「全ての○○が反応せず」という語句が出てきたら不完全燃焼の問題です。
不完全燃焼の問題は入試や学校の定期試験で少し難しめの計算問題として度々出題されます。
慣れるまでは図を書いて解き、慣れてきたら暗算で計算しましょう。
不完全燃焼の解き方の基本は
- 酸素の質量を求める
- 酸素と化合した物質の質量を求める
- 全体の質量から①と②の質量を引く
この流れで解きます。以下の例題で計算の流れを確認しましょう。
例題1
32gの銅を加熱して酸素と反応させたところ、全ての銅が反応せず、反応後の物質が35gになった。
このときの未反応の銅の質量を求めよ。
[解き方]
まずはこんな感じの図を書きましょう。
それぞれ何を表しているのかは次の図で確認してください。
茶色と青色の部分を合わせたところが酸化銅です。
①まずは、青色の酸素の質量を求めます。
加熱することによって質量が3g増えているので、これが化合した酸素の質量になります。
②次に3gの酸素と化合した銅の質量を求めます。
銅:酸素=4:1の関係より
酸素と化合した銅の質量は12gだと分かります。
③最後に未反応の銅の質量を求めます。
反応後の全体の質量35gから酸素の3gと化合した銅の12gを引くことで、
未反応の銅が20gであることが分かります。
慣れてくると図を書かなくても解けるようになります。図が無い場合はこんな感じです。
例題2
30gのマグネシウムを加熱して酸素と反応させたところ、全てのマグネシウムが反応せず、反応後の物質が34gになった。
このときの未反応のマグネシウムの質量を求めよ。
[解き方]
酸素:34-30=4g
反応したマグネシウム: x:4=3:2より6g
未反応のマグネシウム:34-4-6=24g
こんな感じでスラスラ解けるようになります。
不完全燃焼は点数に差がつく問題なので、キッチリここでマスターしておきましょう